子宮内膜症
子宮内膜症という病気は、一言でいうと「子宮の内腔以外の場所にも子宮内膜が生育している病気」です。子宮内膜は本来、子宮の内側だけにあり、妊娠する場所です。妊娠しない場合、この内膜は剥がれて出血し、月経となります。
しかし時にこの子宮内膜が子宮内側のみならず、卵巣や卵管、あるいは腹腔内、直腸の表面などといった他臓器に芽ばえてしまい、そこで増加してしまうのが子宮内膜症です。子宮のように出口が無い為に、剥離した細胞が周囲に固まりとなって血腫を作ったり、周辺組織と癒着したりしてしまいます。
子宮内膜症の患者の治療にあたっての病態の認識、診断、治療方法の選択などに対して、いかにしてより良きインフォームドコンセントを得るかを中心にして専門医師が解りやすく解説しています。子宮内膜症のプライマリケアに携わる医師にとって、正しい理解と治療の方向性を考えるために役立つものです。
子宮内膜症の症状
子宮は子宮筋という筋肉から出来ています。この袋状の臓器の内側は子宮内膜という薄い膜で覆われています。
全く症状のない人もいますが、子宮内膜症においては、鎮痛剤を服用しても痛みが取れないほどの強い生理痛や、悪心や嘔吐を伴う腹痛を起こします。また生理痛の時以外にもしばしば腹痛などの症状が起こったりします。血尿や排便痛などといった症状が現れることもあります。
また過多月経を伴ったり、不妊症の20%位が子宮内膜症とも言われます。生殖年齢の女性の少なくとも5%程度が子宮内膜症であるとの統計もあります。
骨盤内のみならず、おへそ、腎臓、肺、手足、手術後の傷など、様々な部位に出来るため、人によって症状は様々です。自己判断せずに必ず婦人科の検診を受けましょう。
子宮内膜症の診断
内膜症は放置しておくと毎月卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)により年々に進行していく可能性があります。病巣の組織自体は良性で、命に関わることは殆どないのですが、放っておくと症状は悪化していき不妊症の原因にもなりかねません。
内診と直腸診,超音波断層法検査,CT検査,MRI検査,腹腔鏡検査などを駆使して子宮内膜症は診断します。進行状況を診断するには,腹腔鏡検査が不可欠なのです。また子宮筋腫や卵巣嚢腫、子宮腺筋腫などの可能性もありますので、必ず医師と相談する事が必要です。
子宮内膜症の原因と治療
はっきりした子宮内膜症の原因は明らかでは有りません。月経時、内膜が剥がれて子宮から膣へ出ていきますが、その時子宮内膜の一部が子宮から逆流して卵管を通り腹腔内にばらまかれ、内膜の一部がそこで発育する説が有力です。その他に生まれつきという説もあります。
子宮内膜症の治療では鎮痛剤による対症療法がまず考えられます。症状が軽くて、妊娠を希望していない方の場合には非ステロイド性抗炎症剤で痛みをとる対症療法が行われます。しかし、これは内膜症そのものを治療、進行を食い止める効果はありません。次にホルモン療法があげらます。いわゆるピルを服用します。
ピルのメリットは、避妊法として最も効果的な方法である事は勿論、長期服用が可能で副作用が少ないことが挙げられます。内膜症による生理痛を軽減でき、また子宮内膜症の進行を遅くする事が可能といわれています。
外科的治療法は薬物療法が効果がない人や重い症状の人に行われます。