妊娠悪阻
妊娠悪阻(にんしんおそ)とはつわりの症状が悪化して、日常生活を送れない程の病的な状態のことを呼びます。つわりそのものは、妊婦の半数から8割程度の方に見られる症状です。対して妊娠悪阻の発症率は全妊婦の約1%で入院しての治療が必要になる場合が多くなります。通常は妊娠5~6週から症状が出現し、妊娠12~16週ころまでには消失します。
妊娠悪阻の症状
妊娠悪阻は
* 水分をまったく受け付けない
* 体重が5キロ以上減る(体重の10%以上)
* 尿にケトン体が出る
* 1日に5回以上吐く
などといった症状で診断されます。
ケトン体とは尿中に排出されるもので、体内の脂肪が分解されてできます。通常は尿を調べても「マイナス」ですが、脱水症状などが発生すると「プラス」の結果がでます。妊娠中にこの数値がプラスになる場合、妊娠悪阻である可能性があります。同時につわり症状がひどかったり、脱水や栄養障害が起きている場合には病院への入院治療が必要となります。
第一期(嘔吐期)
恒常的に吐き気がして嘔吐がある状態になります。血や胃液が混じった物を吐くようになり、食物を受け付けない状態になります。体重は減り始め、脱水症状を起こします。このときの症状は口の渇きや、だるさ、めまい、便秘などで、尿中にタンパクが出ることもあります。
第二期(肝腎障害期)
ケトン体、尿タンパクで陽性が出て、第一期の症状が悪化します。代謝異常を原因とした中毒症状が発生して、入院治療が必要になる場合が殆んどです。
第三期(脳障害期)
ここまで妊娠悪阻が進んで重症になると、脳神経症状が現れ始めます。母体保護の観点からは妊娠中絶手術を行う事が検討されます。場合によっては幻覚や視力障害、幻聴などの症状が母体に現れ、体内の赤ちゃん共々危険な状態です。
妊娠悪阻の原因
通常のつわりを含めて妊娠悪阻の原因は定かではありません。ホルモンの影響やアレルギー反応などといった説があります。
症状が悪化し食物摂取が困難となると栄養障害や代謝障害を招き、臓器障害や全身状態の悪化をきたす場合があります。この状態が妊娠悪阻なのです。
血液・尿・超音波検査(エコー検査)などで診断基準をはかります。
妊娠悪阻の治療
軽度の妊娠悪阻の場合には点滴をすることで悪阻症状が改善する妊婦もいます。ブドウ糖やアミノ酸、ビタミンなどを点滴します。ビタミンB6は嘔吐を軽減する作用があるとされています。水分や栄養を点滴で補えばほとんどの場合悪心、嘔吐などの症状は楽になります。また吐き気を抑える漢方薬を病院で処方されることもあります。しかし重度の妊娠悪阻の場合には治療が必要になります。
胞状奇胎の場合には、子宮内容除去術が根本的な治療となります。母体が持たないほどに妊娠悪阻が重症となっている場合には、母体の機能が損なわれる恐れを排除する為に中絶という方法がとられる事があります。しかし近年では早期の出産などでも胎児が成長できるようになり減少傾向にあります。