前置胎盤
前置胎盤とは胎盤が何らかの原因で出産に悪影響のある位置(胎盤が子宮下部に付着し、その一部が内子宮口に及ぶもの)に定着する異常妊娠のこと。前回の出産が帝王切開であった方や多産婦、子宮内膜掻爬の既往症状がある場合などに多く発生し、子宮内腔の変形や子宮体部内膜の異常が生じることで受精卵が子宮下部に着床することで前置胎盤になるとされています。
前置胎盤の症状
内子宮口にかかる程度により、全前置胎盤(子宮口をすっかり胎盤がおおってしまった状態)、一部前置胎盤(一部分ふさいでいる状態)、辺縁(子宮口の端だけにかかっている状態)前置胎盤の3種類に分類されます。子宮のカベと胎盤がズレて出血しやすいのが特徴となります。
前置胎盤では妊娠後半期の子宮下部の伸展や子宮口の開大に伴って、胎盤のある一部が剥離して出血します。殆どの症状は妊娠30週前後に無痛性の出血として発生し、自然に消失する場合が殆どのようです。警告出血と呼ばれています。出血は子宮収縮時に増量します。
・胎位異常を伴うことが多い。
・無痛性子宮出血を繰り返す。
・痛みは常位胎盤早期剥離症を疑う所見である。
・妊娠20週までは診断不可能である。
・妊娠28~30週以降は診断されたら出血がなくても入院管理とし、子宮収縮抑制薬を投与する。
・内診は禁忌である。
・胎児が成熟したら帝王切開とする。
痛みのない出血を繰り返したり、お産のときに大出血を起こす場合があります。ただし胎児の心拍動も前置胎盤の場合は異常が見られませんが、胎位異常(骨盤位など)が高頻度で認められます。
前置胎盤の場合、分娩時に子宮収縮に伴い胎盤剥離が進行し多量の出血が見られ易くなります。子宮下部は子宮内膜が妊娠の影響を受けて脱落膜へと変化する脱落膜形成に乏しく、癒着胎盤となり易く、この場合、母親の生命に関わる大量出血を引き起こす場合があります。
前置胎盤の原因
原因は不明ですが、子宮内膜掻爬による内膜の欠損・瘢痕、子宮筋腫、子宮奇形など、内膜の異常によって受精卵に十分な栄養や酸素が与えられない事が原因で下方に着床したり、胎盤が下方に向けて発育するために前置胎盤が起こるとされています。
妊娠中期には前置胎盤のように見えていたものが、妊娠経過に伴って内子宮口から離れていく場合があります。これもその原因は詳しくは判明していないようですが、前置胎盤が疑われる場合には意思の定期的な診察が必要となります。
妊娠中の超音波検査で前置胎盤と判明する場合が殆どで、現在は適切な処置が可能。子宮が大きくなるにつれ、胎盤の位置が上がる場合も。
前置胎盤の治療
治療には安静が重要なので、出血の有無にかかわらず妊娠28週ころに入院するのが一般的です。出血がある場合に子宮収縮を伴っているようなら、子宮収縮抑制薬を用います。出血量が500mlを超えるようであれば、帝王切開による胎児および胎盤の娩出が考慮されます。
辺縁前置胎盤の場合は自然分娩できる場合もあります。