生存率:膀胱がん
人口10万人あたり毎年約17人ほど膀胱がんは発生しています。癌の中ではそれほど多いわけではありません。しかし生活習慣の変化などで年々増加の傾向にあるようです。女性よりも男性に多い病気で、女性の約3倍ほど。膀胱癌患者の多くは40歳以上となっています。
浸潤性膀胱がんで手術を行った場合の5年生存率はT1で95%、T2で80%、T3で40%、T4で25%程度とされます。(患者の年齢や合併症の有無等の影響があり、他の要素の分布が異なるため、膀胱がんの生存率の値は異なる可能性があります)。このガンは壁外の組織へ浸潤しやすく、転移しやすいという特徴がありますので注意が必要です。
第1編 前立腺ガン患者の看護(前立腺がんの特徴についての理解/前立腺がんの診断・治療・看護/患者の自立・社会復帰のためのチーム医療の展開/ターミナル期にある患者の支援)/第2編 膀胱がん患者の看護(膀胱がんの特徴についての理解/膀胱ガンの診断・治療・看護/患者の自立・社会復帰のためのチーム医療の展開)
膀胱がんの症状
膀胱がんではまず血尿が見られます。最も多く見られる症状で、無症候性血尿といって痛みなどの症状が伴わないことが一般的です。発症から数日経過すると血尿が突然止まる場合もみられます。
膀胱がんが進行して、尿管口を閉塞すると背中の痛みを引きおこします。尿が膀胱まで流れずに、尿管、腎盂が拡張することにより痛みが現れます。
また、膀胱がんのその他の症状としては、排尿時の痛みや下腹部の痛みがある場合があります。これら症状は膀胱がんの周囲に細菌が繁殖することが原因となります。
膀胱がんの治療
膀胱がんの診断は膀胱鏡、尿細胞診、CTや超音波などで行います。
放射線療法では基本的に浸潤性の膀胱がんが対象となります。摘出手術をとると尿路の変更が必要となるデメリットがあります。膀胱を温存するため、放射線治療や、放射線治療に化学療法を併用して治療するばあいがあります。病巣周囲の正常組織に影響が及ぶため、膀胱が萎縮して頻尿となったり、直腸よりの出血や皮膚のただれが発生するなどのデメリットがあります。
外科的な治療は大きく分けて2つ方法があります。
一つ目は、経尿道的膀胱腫瘍切除術:TUR-BTと呼ばれ、腰椎麻酔を行って膀胱鏡で腫瘍を観察しながらがんを電気メスで切除する方法。膀胱内に特殊な膀胱鏡を入れて内視鏡で確認しながら、電気メスでがん組織を切除します。
二つ目は膀胱全摘除術といって全身麻酔下に膀胱を摘出する方法。TUR-BTで不十分な場合にはこちらの手術が必要になります。骨盤内のリンパ節の摘出(骨盤内リンパ節郭清)と膀胱の摘出を行って、女性では子宮を、男性では前立腺、精嚢、を摘出します。
進行して転移がある膀胱がんでは化学療法が実施されます。治療中は副作用として、吐き気、食欲不振、白血球減少、血小板減少、貧血、口内炎などが発生します。通常二種類以上の抗癌剤が使用されます。M-VAC療法(メソトレキセート、ビンブラスチン、アドリアマイシンあるいはその誘導体、シスプラチンの4剤の組み合わせの治療)が、現在では治療に最も使用されているそうです。04年には全ての薬剤が膀胱がんの治療薬として保険認可されています。
膀胱癌の原因
原因には様々な要因が考えられますが、喫煙する人の場合には、吸わない人に比べて2、3倍の割合で膀胱がんになり易いようです。男性の50%以上、女性の約30%の膀胱がんは、喫煙が原因となっているようです。
ですので治療や生存率うんぬんの前の予防にはまずは禁煙が膀胱ガンのリスクを減らします。
膀胱の表面は移行上皮という名前の伸縮性に富んだ上皮でおおわれています。この移行上皮がガン化することによって引きおこされます。組織学的には移行上皮がんが全体の90%を占めているようです。その他、リスク要因として、フェナセチン含有鎮痛剤、シクロフォスファミド、コーヒー、塩素消毒した飲料水などが挙げられていますが、疫学研究では明快に一致した結果は得られてい無いようですね。