クローン病:食事療法と新薬
大腸及び小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍をひきおこす原因不明の疾患の総称を炎症性腸疾患といい、ニューヨークのマウントサイナイ病院の内科医クローン先生らによって限局性回腸炎としてはじめて報告された病気がクローン病です。近年では新薬も出てきており患者とその家族には朗報といえるでしょう。
クローン病の症状
クローン病は主として10歳代~20歳代の子供などの若年者にみられる疾患です。男女比は、約2:1と男性に多くなっています。多口腔から肛門まで、消化管のどの部位にも炎症や潰瘍などの症状が起こります。小腸の末端部が好発部位となっており、非連続性の病変が特徴的な病気なのです。これらの病変により腹痛や下痢、血便、体重減少などの症状が起こる病気です。
クローン病の症状は患者により多彩です。小腸型、小腸・大腸型、大腸型といった侵された病変部位によっても異なるのです。中でも特徴的なクローン病の症状は腹痛と下痢となっています。患者の半数以上がこの症状を発症し、発熱、下血、腹部腫瘤、体重減少、全身倦怠感、貧血等も併発します。
さらにクローン病は瘻孔、狭窄、膿瘍などの腸管の合併症や虹彩炎、関節炎、肛門部病変、結節性紅斑などの腸管外の合併症も多く現れます。
クローン病の患者数は1976年には128件、近年では毎年1,500人前後のと増加傾向にあります。04年度には23,188人の患者が医療受給者証交付登録されています。つまりは人口10万人あたり約18.3人のクローン病患者がいることになります。この数値はアメリカやヨーロッパに比して10分の1前後となっています。
クローン病:食事療法
クローン病は人種や地域によって発症する頻度に明確な差が見られます。家系内発症も認められる為に、遺伝的因子が関与していると考えられています。しかしながらクローン病を引き起こす原因となる特定の遺伝子は今までのところ発見されていません。
食事療法によってクローン病の症状改善が可能です。食事は低脂肪高エネルギーが必要で、1日のエネルギー量は、標準体重×40kcalを下回らないようにします。
腸に適度の休息を与えるために、間食は控え、規則正しい時間に食事をすることも大切になります。病気が悪化している状態では、入院治療や絶食をして栄養剤や完全静脈栄養法にする場合があります。しかし状態が良好な場合には、きちんとした食事療法をとることで、症状の改善につながりますの。食事にはもっとも気をつける必要がある病気の一つといえるでしょう。
クローン病の原因
クローン病の発症原因は、遺伝的な要因が関与するという説があります。また麻疹ウイルスや結核菌類似の細菌による感染で発症するという説もあります。さらには食物中の何らかの成分が腸管粘膜に異常な反応を引き起こしているといったものや、腸管内の微小血管の血流障害が原因であるなど、諸説ありますが、いずれもはっきりと証明されてはいません。
近年の研究にyほれば何らかの遺伝子異常が背景にあり、異物処理をつかさどる細胞や、リンパ球などの免疫を担当するある種の細胞異常反応が判明しています。食事の成分、異物、病原体といった何らかの外来の抗原が侵入し、それに対する免疫系の異常反応が想定されています。
環境因子、食生活が大きく影響し、動物性タンパク質や脂肪を多く摂取し、生活水準が高いほどクローン病にかかりやすいと考えられており、先進国に多い病気です。
新薬開発
既存の薬剤で十分な効果が得られないクローン病に、新薬のセルトリズマブ・ペゴルが有効である可能性が、最近の米医学誌掲載の2つの研究で明らかになっています。他にもクローン病に効果があるとされる新薬開発が進んでおり、患者さんには朗報です。